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鑽火祭・御櫛祭 (さんかさい・みぐしまつり)

意宇川 (いうがわ) の上流に鎮座する熊野大社である。朱塗りの神橋をわたり、石段をのぼると、正面に拝殿、幣殿 (へいでん)、その奥に大社造の本殿があり、左手に切妻、平入りの古代建築風の鑽火殿 (さんかでん) などがある。

主祭神は現在素盞嗚尊 (すさのおのみこと) とされているが、『延喜式』の出雲国造神賀詞 (くにのみやつこかんよごと) では、熊野大社櫛御気野命 (くしみけぬのみこと) としている。これは水と農業を司る神として、意宇川下流の豪族たちにとっても最も大切な神だった。『出雲国風土記』にも熊野大社としるされており、すくなくとも平安時代の初期までは、出雲国の一の宮として、出雲大社以上に人々の信仰を集めていた。

現在でも熊野大社と出雲大社の関係が残っているのが、毎年 10 月 15 日に行われる鑽火祭 (さんかさい) である。火を鑽 (き) り出すのに使う火鑽臼 (ひきりうす) と火鑚杵 (ひきりぎね) を熊野大社から出雲大社へ送り出す祭りである。出雲大社ではそれを使って 11 月 23 日の古伝新嘗祭 (こでんしんじょうさい) の火をつくりだすのである。鑽火祭には出雲大社国造みずから臼と杵を受け取りに行くが、その際大きな長方形の餅を持参する。熊野大社側からは亀太夫という下級神職がでて、餅が去年より小さいとか、色が黒いとか難くせをつけ、出雲大社側と押し問答のすえ、この餅をうけとる。そして、かわりに臼と杵をわたすのである。この亀太夫神事は全国でも珍しい。

熊野大社の例祭は 10 月 14 日であるが、このほか 4 月 13 日には、素盞嗚尊が稲田姫に結納として櫛を与えたという故事にちなんで、摂社稲田神社に櫛を献納する御櫛祭 (みぐしまつり) が行われる。

とき 4 月 13 日 御櫛祭 10 時〜
10 月 15 日 鑽火祭 10 時〜 
ところ 松江市八雲町熊野 2451 熊野大社
社務所 TEL.0852-54-0087
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